本好きの自分としては、本は丁寧に扱い大切にしたい。ハードカバーならば折り目もあまり付けたくないし、文庫本だとしても汚れるのは嫌だ。雑誌ですら綺麗に読みたい。それが本好きとしてのマナーであり、本を創った人へのリスペクトの表明だと思っている。
息子も本が好きなようだ。特に乗り物が乗った図鑑が好きらしい。「デンシャ!」「キュウキュウシャ!」などと延々と叫びながらページをめくる。
だが2歳の息子は丁寧に扱うという概念をまだ理解できていない。雑にページをめくるし、たまにページをひねるし、頻繁に本を投げる。だからお気に入りの本であればあるほど、ボロボロになってしまう。
息子の1番のお気に入りだった乗り物が100台載っている図鑑は、表紙は破れて中のページも剥がれて、ボロボロになってしまった。本として読むことが困難になるほどに。この状態では危ないので、息子に読ませることはできない。このようにお気に入りの本は、ほんの数ヶ月で読めない本になってしまう。
息子は本がボロボロになることを悲しんではいるようだ。彼のお気に入りの1つでもある『すしん』という絵本をうっかり破ってしまった時は、唖然とした顔をして黙り込んでいた。それまでは「 ねったあぁぁあん!」と絵本内に出てくる謎の擬音を叫びながら楽しそうにページをめくっていたのに。
『すしん』は父がセロハンテープで補修することで復活した。息子は今でも「 ねったあぁぁあん!」と叫びながらページをめくっている。
↑息子が特に好きなページ
本好きは本を大切にするものだと思う。でも2歳の息子は「大切にする」という価値観を理解できない。本能のまま衝動的に行動してしまうから、好きなものであればあるほど雑に扱ってしまう。
でもそれは2歳児が好きな物に向き合う姿勢としては間違っていないのかもしれない。「ねったあぁぁあん!」と叫びながら『すしん』を読む息子は楽しそうだし、のりもの図鑑を見て自動車や電車や車を見る息子の瞳はキラキラしている。ピュアすぎるほどに真っ直ぐ好きな物に向き合う姿はからは『すしん』と『のりもの図鑑100』への愛が溢れている。
表紙が汚れたことも、ページが破れてしまったことも、ボロボロになってしまうほどに好きなものを愛でた証なのかもしれない。「好きな物を大切にする」という価値観は、これから学んでいけばいい。
先日図書館に息子の絵本を借りに行った時、絵本コーナーに4歳ぐらいの男の子がお母さんと一緒に居た。男の子は気になった本を棚から持ってきて、お母さんの横で乱暴にページをめくっていた。
それを見たお母さんは男の子に「本が痛がってるから優しくしなきゃ可哀想だよ」と男の子言った。すると男の子は丁寧に本をめくり始めた。「ごめんね」と本に向かって言いながら。
そんな姿を見て、言い方を工夫するだけでこれほどまでに子どもは理解するのかと驚いた。息子はその男の子よりも小さいから、同じことを言ってもまだ理解はできないかもしれない。でもあと1~2年ほど経ったら、大切なものを大切にすることの大切さを理解してもらえるだろうか。
そういえば息子は父の髪の毛を引っ張ったり、寝転がっている時に腹の上に乗って飛び跳ねたりと、父を痛めつけてくる。これも好きだからこそ本能のまま衝動的に行動しているということだろうか。きっと息子は『のりもの図鑑100』や『すしん』と同じぐらい父のことが好きなのだと思う。
それは嬉しいことだけれど、お父さんが痛がってるから優しくしないと可哀想だよ。