この子の未来にただラブソングを

むらたかもめの子育てブログ

息子が一番好きな曲について

ロックバンドのライブで激しい曲が演奏された時、観客が円を作って走り回る景色を時折見る。所謂「サークル」というロックのライブ文化のひとつだ。みんな楽しそうにしているのだが、自分にはそれの何が楽しいのか全く理解できない。音楽を聴いて走り出したくなる気持ちがわからないのだ。

 

なんなら音楽を聴いて走り回るというノリや文化は好きではない。自分は同じ場所に立って、まったりと身体を揺らしながら音楽を楽しみたいタイプだ。だがサークルを作りたい奴らに身体を押されて場所を奪われたり、時には安全のためサークルを作る人のために場所を譲らなければならない。なぜ走りたい人間のために、走りたくない人間が犠牲とならなければならないのだ。ぐるぐると円を描いて走るのではなく、そのままどこかへ走り去ってほしい。

 

でも、音楽を聴いて走りたいという衝動は、人間が元来から持っている本能なのかもしれない。むしろ「音楽で走る意味がわからない」と思ってしまう自分は、音楽に対して斜めに構えていて、衝動を抑えてカッコつけているのかもしれない。そんなことを息子を見て思ってしまった。ロックの文化など知らない息子が、音楽に合わせて走り回るからだ。

 

これまでの息子はお気に入りの曲が流れると、手拍子をしたり身体を動かすことはあった。だが自由に歩き回れるようになった今は、お気に入りの曲が流れるとぐるぐると円を描くように走り回る。その様子は音楽フェスでサークルを作って走るライブキッズと変わりない。息子は「好きな音楽が流れた!最高だ!」という感動によって生まれた衝動を、走るという行動で表現している。それは人間が本能的に持っている音楽を聴いた喜びへの反応なのかもしれない。

 

だが息子が走る曲は、ロックではない。

 

 

はじめしゃちょーのYouTubeのエンディングに流れる曲なのだ。息子はこの曲が流れると満面の笑みを見せながら、円を描くようにフルドライブで走る。なぜかこのポップで可愛らしい曲が、息子の胸を昂らせる。彼にはパンクロックに聴こえているのだろうか。

 

ちなみに息子はロックも嫌いではないとは思う。The Birthdayのライブ映像を観て手拍子していたし、GRAPEVINEを聴いたら手足を動かしてリズムを取っていた。この間はYouTubeで偶然流れてきたアークティックモンキーズのライブ映像を真剣に観ていた。1歳とは思えない渋いセンスだが、なかなかに趣味が良い。

 

そんな息子が今、最もお気に入りの曲が「はじめしゃちょーのYouTubeのエンディング曲」である。ポップで中毒性があるとは思うが、それほどにまで惹かれる気持ちが自分にはわからない。大人になってしまった自分には、ロックを聴いて走り回るライブキッズの気持ちも、はじめしゃちょーのYouTubeのエンディングを聴いて走り回る1歳児キッズの気持ちも、わからない。

 

でも息子の気持ちは理解したいので、今日も一緒にはじめしゃちょーのYouTubeを観ようと思う。